文字で相手とやり取りすると言えば、メール、と言いたいところですが、昨今のテレワークといえば「テキストチャット」ではないでしょうか。
対面ではなくチャットでやり取りするようになって、「どうも自分の言いたいことが相手に伝わらない気がしている」という経験が誰でも多かれ少なかれあるかと思います。
対面コミュニケーションとテキストチャットは全く異なるものです。メールとテキストチャットも同じ文字でやり取りするものであっても、その得意とするところや性質は全く異なります。
ここでは「どうしたら文字で相手にうまく伝えられるのか」、在宅&テレワーク3年以上のエンジニア婦人がお伝えします。
テキストチャットは言語以外の情報がない
まず前提として、対面コミュニケーションにあってテキストチャットにないものはなんでしょうか。
―そうです、「話をする相手が視認できること」です。テキストチャットは「相手の表情や身振り手振りなどの言葉以外の情報が全くない」状況です。
私たちは普段の生活で言語外のものから多く判断していますが、これがテキストチャットになると言語外の情報がすべて排除されてしまいます。
よって情報を正確に相手に伝えることができず、自分が欲しい情報を得られない事態も発生しやすい状況にあります。
その結果、テキストチャットで自分が相手に情報をうまく伝えられないことで自分が欲しい情報をうまく得られず、ストレスになることがたびたび起きます(タイピングが苦手だから、といったものもあるかもしれませんが、ここでは個人のパソコンスキルの話題は除外します)。
このストレスを解消できれば、テキストチャットのストレスの半分は解消されたと言えます。
残り半分は「相手がこの文面を読んで気に障っていないか」を気にしてしまうことにあると思います。これはここでは述べず、また後日に。
欲しい返事がもらえる、相手に伝わる書き方
文字で相手に言いたいことを伝え、欲しい返事をもらうには
- 改行を入れる
- 要点を書く
- Yes / Noで方式で書く
3つのポイントがあります。
長くテキストメールを書いてきた人にとっては、そこまで難しくないはずです。
30代以上はLINEが流行する前、きっとメールを使って色々な人とやり取りしていたのではないでしょうか。
メールを書くつもりで書き、チャットでは不要なものを除いていけば伝わりやすくなります。
それでは、以下の文面をテキストチャット向きに、わかりやすくしていきます。
お疲れ様です。〇〇です。〇日に予定されている〇〇〇社の打ち合わせですが、打ち合わせ内容は〇〇と××と△△△になるかと思います。〇〇については〇〇〇〇〇〇で、××については×××××××××になります。△△△は今のところ今回は話題に出さず、先方が触れてきたらお話ししようかと思っています。開始時間は〇日の〇時でその後変更はないでしょうか。よろしくお願いします。
改行を入れる
そんな基本的なこと!と思うかもしれませんが、読みにくいメールやチャットをしてくる方は、この「改行を入れる」ができていないことが多い印象です。
上の文章ですが、非常に読み辛いと思いませんか?これに改行を入れてみると、このようになります。
お疲れ様です。〇〇です。
〇日に予定されている〇〇〇社の打ち合わせですが、打ち合わせ内容は〇〇と××と△△△になるかと思います。
〇〇については〇〇〇〇〇〇で、××については×××××××××になります。
△△△は今のところ今回は話題に出さず、先方が触れてきたらお話ししようかと思っています。
開始時間は〇日の〇時でその後変更はないでしょうか。
よろしくお願いします。
どうでしょうか、これだけでもぐっと読みやすくなったと思いませんか?
メールでもそうですが、チャットでも「句点で改行」と思っておくといいです。
さらに内容の区切りでもう一度改行するとよりよくなります。
手書きの原稿用紙では一文で改行すると「文字数稼ぎか」と思われることもありますが、電子文なので遠慮なく改行しましょう。
要点を書く
次に、要点をまとめます。
この例文の要点は
- 打ち合わせ内容についての事前の共有(と指摘があったら欲しい)
- 開始時間の確認
になります。
なので、一番初めに要点を書き、その要点を見出しのように括弧で囲むなどして目立たせ、その下に内容を書いていきます。
また、チャットでは発言者のユーザー名が表示されるので、自分の名乗りにあたる「〇〇です」は不要です。
お疲れ様です。
〇日に予定されている〇〇〇社の
- 打ち合わせ内容について
- 開始時間について
確認させてください。
【打ち合わせ内容について】
〇日に予定されている〇〇〇社の打ち合わせですが、打ち合わせ内容は〇〇と××と△△△になるかと思います。
〇〇については〇〇〇〇〇〇で、××については×××××××××になります。
△△△は今のところ今回は話題に出さず、先方が触れてきたらお話ししようかと思っています。
【開始時間について】
〇日の〇時で、その後変更はないでしょうか。
いかがでしょうか。よろしくお願いします。
ここでは要点が2つでしたが、4つ以上になると応答するほうも前後半の回答を忘れたり読み漏らしが出てしまうようです。なるべく最大でも3つにまとめましょう。
Yes / No方式で書く
これまでは相手の読みやすさを重視してきましたが、相手に言いたいことを伝え、自分の欲しい回答をもらうためにはこれが一番重要なポイントになります。
要は相手が返事しやすい方法で書くと、自然と返事が返ってきやすくなる、ということです。
Yes / No方式で答えられるものは相手の応答コストを下げることができ、より早く正確な回答が期待できます。
返事がYesであればそのまま進めれば良いわけですし、Noであれば別途指示があるはずです。もしNoであって指示がない場合は、次に指示を仰げばいいですね。
Yes / No以外でも「A案とB案のどちらがいいでしょう」方式も相手の応答コストを下げることができます。相手はAかBで返せばよく、いずれでもなければ別の案が出てきます。
お疲れ様です。
〇日に予定されている〇〇〇社の
- 打ち合わせ内容について
- 開始時間について
確認させてください。
【打ち合わせ内容について】
〇日に予定されている〇〇〇社の打ち合わせですが、打ち合わせ内容は
- 〇〇(〇〇〇〇〇〇)
- ××(×××××××××)
- △△△(先方が触れてきたら、今回は話題に出さない)
になるかと思います。
上記の内容で問題ないでしょうか。
【開始時間について】
〇日の〇時で、その後変更はないでしょうか。
いかがでしょうか。よろしくお願いします。
「打ち合わせ内容について」は内容を箇条書きに、その内容の後ろに括弧で詳細を入れることで情報が文章内に散らばらないようにしました。
ただし括弧内が長くなりすぎる場合は箇条書き以降に別途書くほうが読みやすくなります。
最後に「上記の内容で問題ないでしょうか」の一文を加えることでYes / Noで返事が返ってくるようになります。Yesであれば変更なし、Noであれば修正点を確認できます。
「開始時間について」は元々〇日の〇時で変更がないかを問うものなので、元々Yes / Noで答えられますね。
返答例
先のチャットに返事が来たとき、おそらくこのような内容になるかと思います。
お疲れ様です。打ち合わせ内容についてはその方針で問題ありません。よろしくお願いします。また、開始時間について予定では〇日でしたが、先方都合で日付が変わりました。△日になっています。時間はそのままです。
改行を加えた読みやすい見た目で、且つ何を応えればいいのかわかりやすくしたことで自分の確認したい内容がきちんと返ってくる可能性が高いですね。
より見やすいお返事が書ける方なら、このように返ってくるでしょう。
お疲れ様です。
>【打ち合わせ内容について】
その方針で問題ありません。よろしくお願いします。
>【開始時間について】
予定では〇日でしたが、先方都合で日付が変わりました。△日になっています。時間はそのままです。
いずれにしても、自分が欲しい回答が明確に返ってくる確率があがります!
初めの改行なし、要点整理なしの文章だと後半の「開始時間」の変更があったことにだけ意識が向いてしまい、開始日の変更の情報しか得られないかもしれません。
一度ですべてに回答がもらえない確率が上がりますし、相手に余計な思考をさせることで返事をもらえるまでに時間がかかってしまうかもしれません(単に多忙でチャットをみていなかった、という線ももちろんありますが)。
そうなると「いやいや打ち合わせ内容についてはどうなのよ、何も言ってないけどこれでいいの?」と心配になり、もう一度聞く手間が出てしまう可能性大。
何回も同じことを書くのもなんとなく気が引けますし、なるべく一回で済ませたいところですね。
まとめ
文字で相手に言いたいことを伝え、欲しい返事をもらうには
- 改行を入れる
- 要点を書く
- Yes / Noで方式で書く
が重要なポイントになります。
特に3番のYes / No 方式で書くことが重要です。相手の応答コストを下げることで自分が欲しい情報を引き出せる確率がぐんと上がります。
もしチャットで欲しい情報がなかなか得られなくて困っていて、この3点の中で実施していないものがありましたら、ぜひ試してみてください。
練習
以下の例文を読みやすい形にしてみてください。
お疲れ様です。〇〇の件ですけれども、日にちが明日の10時半からになりました。資料の作成はこちらでやっておきますので印刷を明日の朝にお願いします。取引先の人数は5人、こちらからの参加人数は3人です。リモート参加の方も確か複数名いらっしゃると思うので印刷部数は四つで良いと思います。私は社内から参加します。リモートで参加する面々のためにテレビ会議の準備をお願いします。テレビ会議用のモニターは総務部に問い合わせて手配してください。もし必要なケーブルが足りなければシステム部に問い合わせて準備してください。先方に会議の時間を念のためメールで連絡しておいてください。また明日の朝車内に来て参加される方のための飲み物の用意もよろしくお願いします。
回答例
お疲れ様です。
【〇〇の件について】
明日の10時半からになりました。
【資料】
印刷を明日の朝にお願いします。必要部数は4つです。資料の作成はこちらでやっておきます。
【参加人数】
取引先の人数は5人、こちらからの参加人数は3人です。
リモート参加の方も複数名いらっしゃいます。
尚、私は社内から参加します。
【会議準備について】
リモートで参加する方のためにテレビ会議の準備をお願いします。
テレビ会議用のモニターは総務部に問い合わせて手配してください。
もし必要なケーブルが足りなければシステム部に問い合わせて準備してください。
また、社内で参加される方のための飲み物の用意もよろしくお願いします。
【先方への連絡】
先方に会議の時間を念のためメールで連絡しておいてください。
よろしくお願いします。
想定される応答
お疲れ様です。
〇〇の件について、承知しました。
1点、確認させてください。
社内で参加されるための飲み物の用意とのことですが、昨今経費で落とせるものが減り、以前のように種類を用意することができません。
コーヒー、または紅茶(いずれもホット)になりますが、それで問題ないでしょうか?